シャープ幹部「テレビは家電の王様や。シャープは王様の中の王様になった。それがうれしいんや」
「わしらはいま、本当にうれしいんや。ずうっと悔しい思いをしてきたからな」
10数年前に聞いた、シャープ幹部の話が忘れられない。
「テレビは家電の王様や。シャープは日本で最初に白黒テレビを作った会社や。そやけど
カラーの時代になると松下やソニーに押されて、ブラウン管を自分で作れん時期があった」
―でもシャープはブラウン管のカラーテレビを売ってましたよね。
「簡単な話や。よそから玉を買うとった」
―玉ってなんですか?
「ブラウン管のことや。よそから裸の玉を買うてきて、テレビに組み立てて、シャープのブランドで売るわけや」
―アウトソーシングってやつですね。
「そんな格好ええもんとちゃう。よそは原価よりかなり高い値段でシャープに玉を売るから
シャープのテレビの原価はよそより高い。ところが、売り場へいったら、うちはブランド力が
ないよって、よそのテレビより安く売られる。もうかるわけないやろ。せやけど、王様のテレビを
やらんわけにはいかん。つらい仕事やった」
―でも、今は違いますね。
「そうや。亀山で自前の玉をなんぼでも作れる。今は板やけどな。うちが開発したぴかぴかの板を
よそが売ってくれと頼みに来る。シャープは王様の中の王様になった。それがうれしいんや」
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO39717320Z10C12A3000000/ PR